できごと、思っていること

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パソコンで年賀状

2018-12-03

年末のこの時期、叔父の年賀状作りをサポートすることが恒例になっています。
業者に依頼するのでなく、同居する奥さんや娘さん(私にとっての叔母や従姉妹)に頼むのでもなく、私に「作って」と頼むのでもなく、自分自身がパソコンで年賀状を作ることにこだわる叔父は、普段、マウスやキーボードに触れることはありません。
専用ソフトを使っているので、昔に比べると決して困難ではないのですが、この時期にしかやらないことを、一年前を思い出しながらの作業はそれなりに大変なことです。
彼が自尊心を損なうことなく、それなりの満足感を味わうような形で、彼の年賀状作りを手伝うのが私の使命です。

このスタコラのライター陣は皆、他人にモノを伝える・教える・コーチングする・正解にたどり着く手助けをするプロフェッショナルばかりで、私もその一人ではあるので、お茶の子サイサイと思いきや、その実、毎年苦労しています。
年賀状の作成に苦労しているというよりも、叔父が時々発する疑問や哲学的な問いに上手に答える・応えるのに苦慮している、といった感じです。
ソフトの使い方を説明するのにいろんな言葉が出てきます。
「フォント」や「パーツ」や「テンプレート」といった、叔父の普段の生活には出てこない言葉を説明することは簡単なことです。
ところが「レイアウト」や「背景」なんて馴染んだ言葉の説明が実はやっかいで、彼が思っている「背景」の意味は、その年賀状作成専用ソフトのいう「背景」とはかなり様相が異なります。
そもそも「背景」じゃなくて、「絵の部分」だろ!なんて思いながらも、私は当たり前のように説明することになります。

パソコンの中で使われるいろんな言葉がわかりにくいのは昔からのことで、ただ世の中がそうしたことに慣れてしまったせいで今ではあまり問題にされません。
そうした言葉の説明をするたびに、他人が作ったソフトのわかりにくさについてのイイワケに一所懸命になっている自分が少し恥ずかしくもあります。
叔父が毎年、同じ説明に戸惑うのが彼のせいだとは思えません。

そもそもパソコンなんて自分で触らずに何でもできるような世界はすぐそこに来ています。
音声認識できるAI搭載のスマートスピーカーに呼びかければいいんです。
「Aの11番の図柄を使って」
「住所録は去年と同じで」
「実際に印刷する前にチェックしたい」
音声で伝えるだけで用が済む世界の実現は、間もなくの筈です。

あ、今でも娘さんに「年賀状、作って」と頼むだけでも、同じ結果になるのだけれども…。