できごと、思っていること

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女人禁制

2018-05-21

博多祇園山笠の詰め所(各流れの中の各町内にある山笠の参加者の集会所)にはかつてこんな立て看板がありました。
不浄の者、立ち入るべからず
この「不浄の者」には一般には多くの女性が含まれています。
山笠という祭りはそれを支える女性の存在なくしては成り立たないものですし、女性が見ているからこそ一所懸命半ケツ状態で男達が山を舁くわけです。
なので女性蔑視的な意味合いはなかったのですが、「不浄」という文言がどうにもいけません。
15年前に一斉に「関係者以外立ち入るべからず」にどの詰め所の看板も書き換えられました。 文言が変わっただけで、その詰め所に入ろうとする女性はまず、いません。

世界遺産に登録された沖ノ島には、年に一回、一般人の立ち入りが許されていました。 立ち入りを許されていると言っても、そこは神の島、上陸する前に素っ裸になって海水で体を清めなければいけません。
この立ち入りに申し込むことができたのは男性だけです。
宗像大社は「危険な海域を船で渡らなければならないので、大切な子孫を産み育てることのできる女性を大切に思い、女性の入島を制限してきた」と言ってましたが、どうにも後知恵的な言い訳に聞こえなくもありません。
世界遺産なんてことになるとこの風習(?)はどうなるのだろうと思っていたら、画期的な決断がなされました。
男性の上陸も禁止する、です。
ヘンに観光地化して島の大切な遺産が汚されるよりは、ずっと良かったな、と思いました。

昨年末の暴行事件以降、どの取組にも迫力が増してきた(ように思える)大相撲の巡業先、先月の話です。
土俵上で倒れた人の救命活動を行う女性に対しての「女性は土俵から降りてください」のアナウンスがありました。
相撲協会はすぐに不適切であることを認め謝罪しました。
アナウンス自体はたぶん無知が原因だと思われますが、私は相撲協会の謝罪に少し、憤りを感じました。
誰に対しての謝罪なのかわかりにくかったですし、こんな時こそ、土俵に女性を上げないことの意味や意義を考える(あるいは考え直す)良いチャンスだったのに、謝罪してしまっては「緊急時に非人道的なことをした」で済んでしまいます。

どんな風習や慣習にも多くの先人達の知恵や深い考えが詰まっているものだろうから大切にしたいのですが、それを今の時代に合わせて少しづつ(あくまで少しづつ)緩やかに変化させていくことこそが、その風習・歴史・伝統を守り繋ぐことにつながるのだろうと思います。