できごと、思っていること

Blog

卑怯でない二人

2014-12-15

高倉健のことを最初、ぼくは「なかなか死なない人だなぁ」と思いました。
たぶん昭和残侠伝のクライマックスシーンで、何人もの敵に斬りつけられても、何度も立ち上がる場面を見てそう思ったのでしょう。
幸福の黄色いハンカチ以降でしょうか、いくつかの作品の中で過去に問題を起こした主人公を演じており、そういえば健さん自身も昔は「死んでもらいます」とか言ってたわけで、なんだかうまいキャスティングだなぁと思いました。
男らしく、我慢強く、背筋を伸ばした凛(りん)とした昔気質の人、こんな風になれたらカッコイイとは思うけど、とてもできそうにない。 憧れはするけれど、その反面、少し距離を置いてもいたいような複雑な印象を私は高倉健に持っていました。

菅原文太に憧れたことはありませんが、一番好きな俳優です。
仁義なき戦いシリーズは公開時も含めて、これまで何度も見返しているので、どの作品のどのセリフも(たぶん)記憶しています。
世間では「文太兄い」と称されることがありますが、男が慕う「兄貴」的な役柄にはあまり魅力を感じませんでした。 他者には理解されにくい悲しみを背負って生きていく姿、理不尽な世間や社会や組織に立ち向かわざるを得ない環境に置かれた者だけが持つであろう気骨や哀愁が一番の魅力だと思っています。

二人が多く演じた役には、いくつかの共通点があります。
前科者、孤独で寡黙で無愛想、義理を重んじるが情にも厚い、泣き言を言わない、器用に立ち回れない、腕っぷしが強い、…。
こういった事を簡単に言うと「男らしい」というのかな、違うかしら。
ぼく自身は二人の最大の共通点は「卑怯でない」に尽きると考えています。
二人とも、卑怯な役が似合わないのです。
俳優さんとしてはどちらも演技の幅が広くない、そしてあまり表情も豊かでないけれども、そのたたずまいや姿勢でぼくらを魅了してくれました。

二人の死後、ネット上には多くの情報があふれました。 さもありなんという言説から、実は○○といったネタばらし的なものまで。
ところが、ネット上のどの情報よりも、有名週刊誌数冊に書いてあった記事の方が、面白く、考えさせる内容が多かったです。
週刊誌の取材力を見せつけられたと同時に、ネット上にはドーデモイー情報が多すぎるなぁとの思いを強くしました。
かくいうこの小文もドーデモイー内容だなぁ、あぁ、反省しています。