働かせ方改革と社長バカ
2017-06-12
乱暴ですが簡単に言ってしまうと「社員のモチベーションを上げる」ためにできること、簡単なことからでも始めては、というのが、前回と前々回のコラムの要旨でした。
組織におけるリーダーの役割として「メンバーのヤル気を引き出すこと(=維持すること、削がないこと)」が最重要課題であるのは当然です。
モチベーションを上げる、ヤル気を引き出す、満足感・達成感を味わわせる。
これらを実現する方策こそが、経営者やリーダーに求めらる唯一のスキルなのかもしれません。
初めて働き方改革
という言葉を聞いたときに、うんうんと頷きました。
ところが、実際にこの改革を実現するために提言されている施策のほとんどは、働き方というよりも「働かせ方」のように思えてきます。
長時間労働を制限することや同一労働同一賃金、女性・若者・高齢者の活用には何の異論もありません。
でも働かせ方改革
でなく働き方改革
と呼ぶからには、社員側の自発的な改革アクションをもっと積極的に促すようなドラスティックな施策があっても良いのではないか。
残業したい社員にはジャンジャン残業させるくらいの方が、本来の働き方改革
ではないのか。
暴論でしょうか。
心の底から「残業したい」なんてほとんどの社員は思っていません。
残業の理由は下のいずれかでしょう。
- 残業手当が欲しい/上司がまだいるので帰りづらい/家に帰りたくない
- 予定にない割り込みが発生した(アクシデント)
- 今日のノルマが達成していない(指示者のミス)
- この業務を今日中に仕上げたい
- 残業しないことにより大きな危機が訪れる
- 残業することにより大きな成果が得られる
「危機」は会社の利益を大きく損ねたり他の社員やお客さまに迷惑がかかる等で、「成果」というのは業務成果だけでなく達成感や顧客満足等を含みます。
後半3項目のポジティブな気持ちを妨げることは、組織としてはまずいのではないかという気がします。
しかしながら、後半3項目にしても実のところ、その社員の勝手な思い込みである可能性もあります。
今日中に仕上げなくても良い仕事かもしれませんし、たかだか一人の社員が残業しなくとも誰も困らないし、頑張って残業しても何の利益もうまないどころか、そのせいで体調を崩して他の業務や社員に迷惑がかかることもある場合もあるでしょう。
ですが(また、否定形でスミマセン)、思い込みかもしれないけれど、もっと頑張りたいというモチベーションは安易に否定すべきではないのではないでしょうか。
上記の言質には既に一つの回答が出ています。
残業が発生する可能性のある職種については、労働時間数による労務管理をやめてしまう、です。
なかなか難しい課題です。
ワークライフバランスの本来の意味(だと私が勝手に考えているだけかもしれない)は「仕事によるストレスを仕事以外に及ばせない」です。
ストレスというのは精神的重圧だけでなく、長い労働時間や低賃金も含みます。
こうしたストレスを低減するための具体的な取り組みが働き方改革
の項目として掲げられています。
いわば、マイナスを生じさせない・マイナスを小さくする取り組みに過ぎないとも言えます。
政府レベルではこんな所。
仕方ありません。
ここで登場するのが社長バカ
。
社員のストレスを軽減するのではなく、社員に夢や希望や達成感を与える、政府には決してできないプラスをどう創出するのかが社長バカ
の腕の見せ所。
前回・前々回のコラムでは「オモシロ称号」「経営理念の徹底と職務の共有」が挙げられました。
社員個々にはいろんな価値観や考え方があるので一様にとはいきませんが、社長バカ
の施策にまんまと乗っかってくれる(=思いを共有してくれる)優秀な社員バカ
(???)が数多くいる組織を目指したいものです。
【追記】
幸いなことに世の中には「バカ社長」よりも「バカ社員」の方が圧倒的に少数です。
たった一人の「バカ社長」が、「バカ社員」と思わなければそれでいなくなります。