できごと、思っていること

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エスカレーターのマナー

2013-04-15

地下鉄をご利用になりますか。
福岡市営地下鉄天神駅のエスカレーター横の壁面にこんなポスターが貼ってあります。
「エスカレーターは歩くところではなく、乗るところ」
最初に見た時には何を意味しているのかわかりませんでした。 これはエスカレーターに乗ってそこを歩いて移動することをやめましょう、という警句コピーのようです。
おいおい、私は思わずツッコミを入れたくなりました。
エスカレーターに乗る際には左側に寄せて、急ぐ人(=歩いて移動する人)のための右側を空けておいてあげるのは、都会人のマナーだろうと思っていたからです。
歩くことを禁止されたら、まったく意味のないマナーということになってしまいます。

4月11日の朝日新聞(私が読んでいるのはデジタル版)に、転倒事故多発、恐怖のエスカレーター歩きと題された記事が掲載されました。
エスカレーターを歩くことについての是非、このマナー(ルール?)の発生の経緯、現在の鉄道会社における取り組み等についてが記事の主文。
記者は最後に、歩いたとしてもたいした時間の短縮にはならない、と結んでいますが、これは少し的外れな結論だと思えます。
たいした影響はなくとも急ぎたい場面は誰にでもあるし、私自身は急いでいなくとも、急いでいる人のためを考えて「左側に寄って」立っている私のスタンスについては何の言及もされていません。
マナーでもルールでもいいのですが、緊急時にはそれなりの対応は必要ですし、そうでない平時において、いかにスムースで快適で安全で心豊かに過ごすための約束事みたいなものが求められているわけです。 赤信号を守って親の死に目に会えない、なんてことになるのは愚かです(例が悪くてすみません)。

「常に左側に寄って立ち、自分は絶対にエスカレーター上では歩かない」
「エスカレーターそのものに乗らない」
個人としての解決策は簡単ですが、私は一応、コンサルタント(=問題を見つけて解決方法を提示する職業)を自負している立場ですからきちんとした答えを探りたいところです。
思いつくまま挙げていきます。
「基本的にはみんなが歩かずに乗り、急いでいる人がいる場合も想定して、一声かけられたらさっと左側に寄せれるように心がける」
「急いでいる人は左側に寄っている人にたいして感謝の言葉を述べるか、軽いお辞儀をしながら歩いていく」
「急いでいるなら、エスカレーターは使わない」
「エスカレーターの幅を一人分だけに狭くしてしまう」
「通常のエスカレーターとは別に、歩き専用のエスカレーターも設置する」
…、何がコンサルタント、全然、実用的とは言えないものもあります。困りました。

40年以上前に漫画「釣りキチ三平」の中にこんな場面がありました。
川釣りをしていた三平がタバコの吸殻を見つけて、それを土の中に埋めてドヤ顔をします。
少なくとも当時はタバコの吸殻を川に捨てずに、近くの地中に埋めることは立派なマナーだったわけです。
マナーは時代によっても大きく変わることの証左の一つです。

マナーは「粋(いき)」を実践するための取り決めだという考えがあります。
粋の本質は、他人と争わずに他人と関わり合うことだそうです。
他人と気持よく接するためには、エスカレーターに乗る際の「今の時代の」マナーはどうあるべきか。
コンサルティング問題としてはお手軽です。考えてみると面白いのではないでしょうか。
私の考えた解答もあるのですがここには書きません。実際にお会いした時に尋ねられればお答えします。